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地球温暖化による影響は? 将来の予測と脱炭素社会の実現に向けて企業としてできること

地球温暖化による影響は?

将来の予測と脱炭素社会の実現に向けて企業としてできること

ここ数年、日本を含む世界中で熱波や豪雨などの気象災害が頻繁に発生しています。こうした気象災害を引き起こす原因の1つが地球温暖化といわれています。

日本政府は、2050年までに地球温暖化の要因である二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするという方針を発表しました。この目標を達成するために、私たち企業ができることについて考えます。

※本記事は、長くヒロモリとビジネスを協業させていただいている「一般財団法人 日本気象協会」様にご協力いただきました。

 

 
目次

■地球温暖化とは
■これまでの日本の気候変化 
■大気中の二酸化炭素の濃度は年々増加

■このまま地球温暖化が進むとどうなるか
■私たち、企業としてできることは
■まとめ

 

地球温暖化とは

地球温暖化とは、人間の活動によって、二酸化炭素などの温室効果ガスが大気中に放出され、地球の気温が上昇することです。地球温暖化は、気温の上昇だけでなく、異常高温や災害をもたらすような大雨、干ばつの増加など、気候の変化をもたらしています。北極圏の海氷面積の減少や海洋の酸性化などによって、自然生態系へも影響が及んでいます。

これまでの日本の気候変化

近年、極端に暑い日が増加 豪雨災害も多く発生

日本の年平均気温偏差の経年変化グラフ

日本の年平均気温は、変動を繰り返しながらも、長期的にみると、100年あたり1.26℃の割合で上昇しており、1900年以降は高温となる年が増えています。特に、大都市では、都市化の影響による気温の上昇が加わり、東京では年平均気温の100年あたりの上昇率は3.2℃となっています。2020年は、基準値(1981年から2010年の30年平均値)との差が、1898年の統計開始以来、最も大きくなりました。

気温の上昇によって、気候への様々な影響が出ています。全国の猛暑日(日最高気温が35℃以上)や熱帯夜(日最低気温が25℃以上)の年間日数も増加しており、特に最近の30年間は多くなっています。2000年以降、日最高気温40℃以上を観測する地点が増えていますが、昨年は静岡県浜松市で国内最高気温のタイ記録となる41.1℃を観測しました。

また、暑さだけなく、災害を引き起こすような激しい雨の回数も増加しており、「平成30年7月豪雨」「令和元年東日本台風」「令和2年7月豪雨」など、大雨による土砂災害や河川の氾濫などが多発しています。近年、局地的な大雨や暴風など、極端な気象現象が多くなったと感じている方も多いのではないでしょうか。

大気中の二酸化炭素の濃度は年々増加 

2019年は観測史上最高の値に

産業革命以降、人間活動による石油や石炭などの化石燃料の使用や森林の減少などによって、大気中の温室効果ガスの濃度は増加を続けています。温室効果ガスの1つである二酸化炭素の大気中の濃度は、日本付近でも年々増加しています。

気象庁では、大気中の二酸化炭素の濃度を、陸上、洋上、上空で立体的に観測していますが、2019年はすべての観測において観測史上最高の値を更新しました。

大気中の温室効果ガスの濃度が増え、温室効果が高まることで、地球の平均気温が上昇する、これが地球温暖化です。

このまま地球温暖化が進むとどうなるか

21世紀末には、日本の年平均気温は約4.5℃上昇する可能性も

地球温暖化に関する報告書である、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第5次報告書では、21世紀末の世界の平均気温について4つのシナリオを提示して予測しています。現時点を超える地球温暖化対策をとらない場合のシナリオでは、20世紀末と比べて、21世紀末の世界の平均気温が約2.6~4.8℃上昇すると予測しています。

このシナリオに基づく気象庁の予測によると、21世紀末には日本の年平均気温は約4.5℃上昇するとされています。この予測に基づくと、21世紀末の日本の気候にどのような影響が表れるのか、具体的にみていきましょう。

猛暑日や激しい雨がさらに増加

これまでより多くの地域で、猛暑日や熱帯夜の日数が増加すると予測されます。日本国内の猛暑日の年間日数は約19.1日、熱帯夜の年間日数は約40.6日増加するでしょう。例えば暑いイメージがある沖縄では、これまで猛暑日がほとんどありませんでした。ただ、このまま地球温暖化が進むと、21世紀末には那覇で年間約60日が猛暑日になると予測されており、猛烈な暑さが続く恐れがあります。

また、1時間あたりの降水量が50mm以上(傘が全く役に立たない、滝のように降る、非常に激しい雨)の頻度は、約2.3倍に増加すると予測されています。これによって、河川の氾濫や土砂災害などの危険がさらに高まります。

海面水温の上昇や高潮の危険も

日本近海の平均海面水温は、約3.58℃上昇すると予測されており、特に、釧路沖や三陸沖で上昇率が大きくなると考えられています。また、海面水位も約0.71m上昇すると予測され、東京湾や大阪湾、伊勢湾における高潮の危険性が高まります。これまでより多くの地域で、台風の接近などによる高潮の被害が発生する恐れがあります。

私たち、企業としてできることは

緩和策と適応策

地球温暖化を防止するための対策には、大きく2つあります。

1つは、地球温暖化の主な原因である温室効果ガスの排出量を削減する「緩和策」です。具体的には、省エネルギー対策や再生可能エネルギーの導入などがあります。もう1つは、すでに表れている、あるいは、今後避けられない地球温暖化による影響に備え、その被害を最小限に抑制する「適応策」です。具体的には、農作物の品種改良や暑熱対策技術などがありますが、企業としてできることとしては、顧客の適応に貢献できる製品やサービスを開発・販売・提供することなどが挙げられます。「緩和策」と「適応策」はどちらか一方でなく、補完しあうことで、地球温暖化のリスクを削減することができるため、バランスよく行うことが大切です。

2050年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロに

日本政府は、2050年までに「国内の温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする」という方針を発表しました。欧州や米国、中国など、世界ではクリーンエネルギーへの転換と、そのための投資が加速しています。日本でも東京都や京都市、横浜市をはじめとする305の自治体が「2050年までに二酸化炭素排出量実質ゼロ」を表明しています。企業にとっても、脱炭素社会に向けての取り組みを実施しないことは、国際的な競争力に影響を及ぼすでしょう。「二酸化炭素排出量実質ゼロ」を実現するためには、影響力のある企業や自治体が連携して、生活者がこの取り組みについて実践するためのサポートを行うことが必要です。

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脱炭素やゴミの削減をサポートする商品・サービスの開発

多くの製品メーカーで、脱炭素やゴミを減らす取り組みは重点テーマの1つになるでしょう。大手の飲料メーカーでは、リサイクルペットボトルやラベルレスボトルを採用する取り組みを始めています。過剰包装をやめる、パッケージのエコ化、配送コストの削減など、業界を超えた連携で取り組みを強化していく必要があります。また、ゴミの削減だけでなく、使い終わった製品を回収して別の製品やエネルギーに変えるアップサイクルやリサイクルの活動もさらに加速していくと予想されます。

資源リサイクルやエコバッグの活用を促進する

「3R(スリーアール)」とは、リデュース(Reduce)・リユース(Reuse)・リサイクル(Recycle)の3つのRの総称で、環境と経済が両立した循環型社会を作るための取り組みです。リデュースはゴミの削減。例えば、買物にはエコバッグを使用したり、簡易包装の製品を購入したり、食材を使い切る工夫をしたりすることです。リユースは再利用。詰め替え商品を購入したり、不要になったものを譲り合ったりすることです。リサイクルは再資源化。ゴミを正しく分別して、再生して作られた製品を利用することで、新たな二酸化炭素の排出を抑えることができます。

また、3Rに加えて、使わなくなったものを、元々の素材や形状、特徴を活かしつつ、新しい素材やより良い製品に変換して価値を高める「アップサイクル」も注目されています。 使えるものを再利用して、ゴミを減らすことは、少しの工夫で行うことができる身近な取り組みなので、企業が積極的に支援していく必要があります。

省エネで快適な暮らしをサポートする

2018年の家庭からの二酸化炭素排出量をみると、燃料種別では電気が46.7%と最も多く、用途別では照明・家電製品などからが30.9%、暖房からが15.6%、冷房からが2.9%となっています。住まいの省エネルギー化は、企業ができるサポートの1つです。

このために重要なのが、冬に熱を逃がさない、夏に熱を侵入させない、「住居断熱化」です。冬は窓に断熱シートを貼る、二重窓にする、夏はブラインドなどで遮熱するなど、エコな暮らし方を提案してみてはいかがでしょうか。

激甚化する災害に対する、企業としての取り組みが重要に

今後、地球温暖化の影響で、大雨による浸水や洪水などの災害がさらに増加し、甚大な被害が発生することが予測されています。また、気温の上昇により熱中症の危険が高まることも予測されます。激甚化する災害への備えや、気象変動による体調管理や対策などは、一企業では解決するのが難しい課題です。これからは、企業と国や自治体、業界団体などが連携し、中長期的に取り組む活動も重要になるでしょう。

まとめ

地球温暖化の影響は、自然生態系や私たちの社会にすでに表れており、このまま地球温暖化に対して何も対策をとらなければ、さらに深刻な影響が生じると予測されます。

日本政府は脱炭素社会の実現に向けて様々な取り組みを始めています。今後は、国や地域の自治体が制度を作るだけでなく、企業や個人においても脱炭素社会に向けた行動が求められるでしょう。政策的な支援も期待されることから、この問題を身近なことと捉え、自社の取り組みを見直してみてはいかがでしょうか。

日本気象協会所属 気象予報士/防災士:久保智子

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